Y
YANAI TAX OFFICE ・ CHIGASAKI / SHONAN

【7月10日が三重の山場】算定基礎届・労働保険年度更新・源泉納期特例をfreeeで乗り切る段取り

少人数で経理・労務を回す中小法人の経営者・総務担当の方へ。毎年7月上旬に重なる「算定基礎届」「労働保険の年度更新」「源泉所得税の納期の特例」の3つを、期限・担当・処理順序で整理し、freee人事労務の給与データを起点に一気通貫で片づける段取りをまとめます。2026年は7月10日が共通の山場です。

なぜ7月10日に提出物が3つも重なるのか

7月上旬は、性格の違う3つの提出物の期限が一点に集まる時期です。源泉所得税の納期の特例(年2回まとめて納付できる仕組み)の上期分、社会保険の標準報酬月額を決め直す算定基礎届、そして労働保険料を精算する年度更新。所管も税務署・年金事務所・労働局とバラバラで、頭の中で整理しづらいのが毎年慌てる原因です。

2026年は、いずれの期限も7月10日(金)です。10日が土日なら翌開庁日にずれますが、今年は平日のため後ろ倒しはありません。まずは「何が・いつまでに・どこへ」を一枚の表で押さえましょう。

提出物期間提出先主な中身
源泉所得税の納期の特例(上期分)7月10日まで所轄税務署1〜6月に源泉徴収した所得税・復興特別所得税の納付
算定基礎届(定時決定)7月1日〜7月10日年金事務所(事務センター)4・5・6月の報酬から標準報酬月額を決定
労働保険の年度更新6月1日〜7月10日労働局・労働基準監督署前年度の確定保険料と当年度の概算保険料の申告・納付

3つに共通するのは、いずれも「給与データ」が計算の土台になる点です。だからこそ、給与をfreee人事労務で一元管理していれば、横断的に効率よく処理できます。

源泉所得税の納期の特例(1〜6月分を7月10日納付)

納期の特例とは、給与の支給人員が常時10人未満の事業者が、毎月納付すべき源泉所得税を年2回にまとめて納められる制度です。承認を受けていると、1〜6月に源泉徴収した分の納付期限は7月10日、7〜12月分は翌年1月20日になります(出典:国税庁 タックスアンサー No.2505)。

対象は、給与・退職手当のほか、税理士・弁護士・司法書士などへの報酬から源泉徴収した所得税・復興特別所得税です。ここで注意したいのは、士業報酬の源泉分も納付対象に含まれる点です。給与だけを見て金額を確定すると、漏れが起きやすい論点です。

なお、司法書士・土地家屋調査士などへの報酬は、源泉徴収税額の計算方法が税理士・弁護士と異なります。1回の支払金額から1万円を差し引いた残額に10.21%を乗じて計算します(出典:国税庁 タックスアンサー No.2801 司法書士等に支払う報酬・料金)。

承認を受けていない会社は原則どおり毎月納付(翌月10日まで)となります。自社が特例の対象か分からない場合は、過去の納付書の様式や税務署への申請履歴で確認しておきましょう。

算定基礎届(7月1日〜7月10日・標準報酬の定時決定)

算定基礎届は、4・5・6月に支払った報酬をもとに、社会保険料の計算基礎となる「標準報酬月額」を毎年決め直す手続きです。これを定時決定と呼びます。届け出た内容で決まった標準報酬月額は、その年の9月から翌年8月まで適用されます(出典:日本年金機構 定時決定(算定基礎届))。

提出期間は7月1日から7月10日までです。届出用紙は例年6月中旬以降に順次事業所へ送付されます。対象は7月1日時点で在籍する被保険者で、原則として全員分を届け出ます。

ポイントは、対象が「4・5・6月に支払った給与」である点です。締め日・支払日の関係で何月分の給与が対象になるかを取り違えると、標準報酬月額が一年間ずれてしまいます。残業の多寡や一時的な手当も平均額に影響するため、3か月の支給実績を正確に拾うことが重要です。

労働保険の年度更新(6月1日〜7月10日・概算/確定)

労働保険の年度更新は、労災保険と雇用保険の保険料を精算する年に一度の手続きです。前年度の保険料を実際の賃金総額で確定(確定保険料)し、同時に当年度分を見込みで申告・納付(概算保険料)します。申告・納付期間は6月1日から7月10日までです(出典:厚生労働省 労働保険の年度更新とは)。

計算の土台は「年度内に支払った賃金総額」です。賃金に含める・含めないの線引き(通勤手当は含む、慶弔見舞金は含まない等)を誤ると、確定保険料がぶれます。期間内に手続きをしないと、保険料額が職権で決定され、追徴金が課されることがあるため注意が必要です。

申告書は例年6月初めに事業所へ届きます。e-Gov電子申請でも提出でき、freeeなどの給与システムから出力した賃金集計を転記する流れが一般的です。

freee人事労務の給与データで3点を突合する段取り

3つの提出物は所管こそ違いますが、計算の起点はすべて給与データです。freee人事労務で給与を一元管理していれば、同じ数字を3つの様式へ展開でき、突合(数字の照合)もしやすくなります。おすすめの処理順序は次のとおりです。

  1. 給与データの確定:4・5・6月および年度(前年4月〜当年3月)の支給実績を、freee人事労務で締めて固める。
  2. 算定基礎届:4・5・6月の報酬月額を集計し、標準報酬月額の対象範囲を確認して提出する。
  3. 労働保険の年度更新:年度内の賃金総額を集計し、確定・概算保険料を計算して申告・納付する。
  4. 源泉所得税の納付:1〜6月の源泉徴収額(給与+士業報酬)を合算し、納付書を作成して7月10日までに納付する。

freeeの具体的なメニュー名や帳票出力の画面は、バージョンアップで変わることがあります。2026年時点の操作は、必ずfreeeヘルプセンターで最新手順を確認してください。給与・賞与・社保・源泉が同じ基盤で動いているメリットは、各様式の数字を「同じ元データから出した値か」で相互チェックできる点にあります。

ここで会計士視点の落とし穴を一つ。源泉所得税は支払額ベース、社会保険・労働保険は対象期間や賃金範囲の定義が異なります。同じ「給与」でも集計の切り口がずれるため、3つの数字が一致しないこと自体は正常です。一致しない前提で、それぞれの定義に沿って集計できているかを確認しましょう。

よくある詰まりどころと次の一手

最後に、毎年つまずきやすいポイントと対処を整理します。

  • 賞与の扱い:源泉・社保・労働保険で賞与の反映タイミングや対象期間が異なります。賞与月をまたぐ集計は要注意です。
  • 納期特例の対象漏れ:士業報酬の源泉分を納付に含め忘れるケースが多い論点です。給与以外の源泉も必ず拾いましょう。
  • 算定の対象月の取り違え:締め日・支払日のずれで対象給与を誤らないこと。標準報酬月額は一年間影響します。
  • 担当の属人化:3つを社長や一人の総務担当が抱え込むと、繁忙期に抜けが出ます。チェックリスト化と担当の見える化が次の一手です。

来年に向けては、この記事の表とチェックリストをそのまま社内手順書に転記し、freee人事労務の給与確定を起点にしたルーティンとして定着させることをおすすめします。

この記事の要点

  • 2026年は源泉所得税の納期の特例(1〜6月分)・算定基礎届・労働保険の年度更新が、いずれも7月10日(金)に重なる。
  • 源泉所得税の納期の特例は、給与に加え士業報酬の源泉分も納付対象。1〜6月分を7月10日までに納付する。
  • 算定基礎届は7月1日〜7月10日。4・5・6月の報酬で標準報酬月額を決め、9月〜翌年8月に適用される。
  • 労働保険の年度更新は6月1日〜7月10日。年度内の賃金総額で確定・概算保険料を申告・納付する。
  • 計算の起点はすべて給与データ。freee人事労務で一元管理し、給与確定→算定→年度更新→源泉納付の順で処理すると突合しやすい。

出典


freee運用や月次・労務まわりの早期化でお困りですか? 矢内隆一税理士事務所(湘南・茅ヶ崎/全国オンライン対応)では、freee認定アドバイザー4★がクラウド経理・労務の設計から運用までサポートします。 サービス内容を見る →お問い合わせ →