freee人事労務で6月住民税を切り替える 通知書反映の実務手順
毎年5月下旬に市区町村から届く「特別徴収税額決定通知書」を6月給与までに反映する作業は、年1回しか発生しない上に6月分の月額だけ他の月と違うことが多いため、毎年同じ場所で事故が起きやすい。本稿では2026年5月時点のfreee人事労務を前提に、紙通知書またはeLTAX電子通知の取込・退職者や休職者の取扱いまでを実務目線で整理する。
6月分だけ月額が違うのはなぜか ── 通知書の読み方
通知書には、6月から翌年5月までに徴収する年税額と各月の月割額が記載されている。実務上は6月分だけ他の月と異なることが多いが、これは年税額を12で割った際の100円未満の端数を最初の納期(6月分)に集約する自治体側の月割計算の結果である。会社側で再計算するのではなく、市区町村が通知書に記載した月割額をそのままfreee人事労務へ反映するのが基本になる。
参考までに、6月分が他の月より多くなる構造を年税額124,500円の例で示す。
- 124,500 ÷ 12 = 10,375円(理論値)
- 100円未満を切り捨てた月額10,300円を採用
- 10,300 × 11か月(7月〜翌年5月)= 113,300円
- 124,500 − 113,300 = 6月分11,200円
- 検算:11,200 + 10,300 × 11 = 124,500円 ✓
実額は通知書に印字されているため会社側で計算する必要はないが、「6月分だけ900円多い」という構造を理解しておかないと、freee入力時に「打ち間違いでは?」と二度手間になる。
freee人事労務での切替手順
画面構成は2026年5月時点のもの。freee人事労務はUIや入力欄が更新されるため、最新の手順は必ずfreee公式ヘルプセンターで「住民税 特別徴収」を検索して確認したい。
1. 特別徴収の初期設定(初年度のみ)
[従業員] → 対象従業員 → 給与情報 → 住民税欄で「会社が住民税を徴収する(特別徴収)」を選択。会社全体の [設定] → 所得税・住民税で徴収方法を「特別徴収」に切り替える。
2. 通知書を従業員ごとに反映
freee人事労務では、住民税は給与支払月ベースで各月ごとの金額を入力する。末日締め翌月払いの会社でも、「6月分の住民税」は6月に支払う給与から控除するため6月欄に入力する。入力欄の名称や項目構成は契約プラン・画面更新で変わることがあるため、操作前に公式ヘルプの最新画面を確認するのが安全。市区町村ごとの特別徴収義務者指定番号もあわせて登録する。
3. 入力後の確認
任意の従業員1名を選び、住民税設定画面の6月欄と7月欄が通知書の数字と一致しているかを目視で確認する。年1回の作業で打ち間違いが起きやすいので、最低1名分は見ておきたい。
eLTAX電子通知データを使う場合
給与支払報告書をeLTAXで提出する際に「電子データでの受領を希望」と申し出ておくと、5月以降に各市区町村からeLTAX上で通知データが配信される運用が広がっている。電子データ受領を選択した市区町村は、書面の正本が送付されないことがある点に留意したい。PCdesk(eLTAXの無料クライアント)でダウンロードしたCSV・XMLをfreee側でどう扱えるかは、契約プランや機能更新で変わるため、eLTAXで取得できるデータ形式とfreee公式ヘルプの最新案内をあわせて確認するのが安全。
中途入退社・休職者の取扱い
退職・入社時期で扱いが大きく変わるので時期別に整理する。細部の運用は自治体により異なるため、最終的には市区町村に確認したい。
- 6月以降の中途入社で特別徴収を継続する場合:旧勤務先からの「給与所得者異動届出書」または自治体所定の切替手続を経て切り替える。本人経由で通知書のみを取り寄せて登録するだけでは手続が不足する
- 6月1日〜12月31日退職:原則として残額を普通徴収へ切替(市区町村から本人に納税通知書が送付される)。本人の申出があれば最後の給与・退職金から残額を一括徴収
- 1月1日〜4月30日退職:5月31日までに支払われる給与・退職手当等が残税額を超える場合は、本人の申出がなくても一括徴収が必要。死亡退職や、支給額が未徴収税額に満たない場合は例外で、徴収しきれない部分は普通徴収に切り替わる
- 5月退職:当年度分は5月分まで通常通り特別徴収して完結する。翌年度(6月以降)の通知書が会社に届いた場合は異動届出書を提出して普通徴収へ切替
- 休職中で給与支給がない従業員:給与から控除できないため、原則として普通徴収切替を市区町村に依頼
いずれも異動が生じた月の翌月10日までに「給与所得者異動届出書」を市区町村へ提出する。
納期限と給与支給人員が常時10人未満の事業所の特例
徴収した住民税は、原則として徴収した月の翌月10日までに納入する。給与支給人員が**常時10人未満(=9人以下)**の事業所は、市区町村の申請承認を経て「納期の特例」を選べる。
| 対象月 | 納入期限 |
|---|---|
| 6月〜11月分 | 12月10日まで |
| 12月〜翌年5月分 | 翌年6月10日まで |
(出典:江戸川区 特別徴収(納期の特例))
この住民税の納期の特例は、所得税の源泉所得税の納期特例(同じく「常時10人未満」)とは別制度。所得税の特例承認を受けていても、住民税の特例は市区町村ごとに別途申請が要る。スタートアップで人数が増えてきた場合、申請当時は要件を満たしていたが現在は10人以上で毎月納付に戻すべきケースもあるので、毎年5月に運用状況を見直しておきたい。
6月給与までに済ませる4つのチェックリスト
- 通知書を市区町村ごとに仕分け、人数と総額を表紙に記入
- freee人事労務で「特別徴収」がオンになっている
- 全員の各月住民税額を通知書のとおりに入力した(再計算しない)
- 入力後に1名分だけ画面で6月欄・7月欄と通知書が一致しているか目視確認
このチェックリストをPDF化して引き継ぎ書類に綴じておけば、担当者交代でもズレが起きにくい。月次決算の早期化と合わせて、6月の定型業務として運用フローに組み込むと再現性が上がる。
この記事の要点
- 6月分の月額は100円未満端数を集約するため他の月と異なる。会社側で再計算せず通知書記載の月割額をそのままfreeeに入力する
- freee人事労務は給与支払月ベースで各月の金額を入力。入力欄の構成は更新されるため操作前に公式ヘルプを確認
- 1〜4月退職は5月31日までに支払う給与・退職手当等が残税額を超える場合、申出なしでも一括徴収が必要
- 住民税の納期の特例「常時10人未満」と所得税の納期特例「常時10人未満」は同じ人数要件だが別制度で別申請
出典
freee運用や月次決算の早期化でお困りですか?
矢内隆一税理士事務所(湘南・茅ヶ崎/全国オンライン対応)では、freee認定アドバイザー4★がクラウド経理の設計から運用までサポートします。