月次試算表、社長はどこを3分で見るべきか(freee画面で解説)
毎月freeeで試算表は締まる。だが「で、うちは大丈夫なのか?」に試算表のどこを見れば答えられるのか分からない――そんな中小企業の社長は多い。本稿は、数字が苦手でも会社の状態をつかみたい経営者に向けて、社長が試算表で見るべきは全科目ではなく3点だけであることと、その3点をfreeeのどこで確認するかを示す。月次決算で締めた数字を、経理担当ではなく経営者自身がどうチェックするかという視点で書く。
試算表を「経理の書類」から「社長のダッシュボード」へ
試算表は本来、会社の今を映すダッシュボードである。しかし科目が数十行も並ぶため、全部を眺めようとすると結局どこも見ない。社長の仕事は記帳の検算ではなく、異常の早期発見と打ち手の判断である。だからこそ見る場所を3点に絞る。
毎月の試算表で社長が見るのは次の3つでよい。
- 現預金残高の推移 ── 会社が止まらないか
- 粗利率の増減 ── 稼ぐ力が落ちていないか
- 固定費の異常値 ── 想定外の出費がないか
以下、それぞれを「なぜ見るか」「freeeのどこで見るか」「危険サイン」の順に解説する。
①現預金残高の推移 ── 月商の何ヶ月分あるか
まず見るのは利益ではなく現預金である。黒字でも現金が尽きれば会社は止まる。確認するのは残高そのものより推移で、「月商の何ヶ月分の現預金があるか」を毎月の物差しにすると規模が変わっても比較できる。
freeeでの見方は、レポート系のメニューから月次の推移を見られる表示を開き、現預金(普通預金・現金)の行を数ヶ月並べて増減の傾向を追う。残高一点ではなく、3〜6ヶ月の傾きで見るのがコツである。
なお、freeeのメニュー名・レポート名・画面の導線は契約プランやアップデートで変わる。本稿の画面手順は目安として読み、実際の名称は最新のfreee画面で確認してほしい。
危険サインは、利益は出ているのに現預金が減り続けている状態である。これは後述の運転資金(売掛金の回収より先に仕入・経費の支払いが来るズレ)が効いている可能性が高く、資金繰り悪化のサイン(深刻化すれば黒字倒産にもつながる)になりうる。利益と現預金が逆方向に動いたら立ち止まる。
②粗利率の増減 ── 売上ではなく「粗利」を見る理由
2つ目は粗利率(売上総利益 ÷ 売上高)である。社長は売上高に目が行きがちだが、売上が伸びても粗利率が落ちていれば、値引き・原価高騰・採算の悪い案件の増加など中身の劣化が起きている。会社に残るのは売上ではなく粗利なので、稼ぐ力は粗利率で測る。
freeeで前年と並べて見るなら、試算表(損益計算書)の「比較」機能を使う。検索条件の「比較」欄で前年比較や3期間比較を選ぶと、売上総利益と粗利率を前年(前期)と並べて確認できる。一方、各月の流れを追うのは月次推移で、こちらは最大12ヶ月まで表示できる。単月だと季節変動に振り回されるため、前年と見比べて実力を見るのがコツである。機能の名称や導線はプラン・最新のfreee画面で確認したい。
危険サインは、売上は横ばい〜微増なのに粗利率が数ポイント落ちているケースである。1〜2ヶ月なら変動の範囲でも、3ヶ月続けば構造的な悪化を疑う。原価の内訳や案件単位の採算まで遡って原因を特定したい。
③固定費の異常値 ── 「あるはずのない科目」に気づく
3つ目は固定費(人件費・地代家賃・水道光熱費・支払手数料など)の異常値である。固定費は毎月ほぼ一定のはずなので、前月から不自然に跳ねた科目や例月にはない科目が出ていないかを見る。見るべきは絶対額より「いつもと違う」かどうかである。
freeeでは、損益計算書(P/L)の月次の推移で固定費の各科目を横に並べ、前月から大きく動いた行を探す。気になる行は明細までドリルダウンして確認できる場合がある。こうした機能や導線も画面更新で変わるため、最新のfreee画面で確認してほしい。
危険サインは、身に覚えのない科目に金額が入っている、特定科目が前月の数倍になっているといった動きである。二重計上・科目の入力ミス・想定外の契約更新などが背後にあることが多く、早く気づくほど傷は浅い。
3点を毎月5分の習慣にする
3点はいずれも「単月の数字」ではなく「推移と比較」で見るのが共通点である。まとめると次のとおり。
| 見る点 | 物差し | 危険サイン |
|---|---|---|
| 現預金残高の推移 | 月商の何ヶ月分か/3〜6ヶ月の傾き | 黒字なのに現預金が減り続ける |
| 粗利率の増減 | 前月比・前年同月比 | 売上横ばいで粗利率が3ヶ月低下 |
| 固定費の異常値 | 前月比・例月との差 | 見覚えのない科目・特定科目が急増 |
毎月、試算表が締まったらこの3点だけを5分で確認する。これを習慣にすると、決算を待たずに異常へ手を打てるようになる。詳細な分析は顧問税理士に任せ、社長は「いつもと違う」を見つける役に徹するのが分業として効率的である。
よくある詰まりどころ
- 完璧に理解しようとして挫折する:全科目を理解する必要はない。3点だけで十分に経営の異常は拾える。
- 単月で一喜一憂する:季節変動や計上タイミングで単月は揺れる。必ず推移・前年同月比で見る。
- 試算表が締まるのが遅い:翌月後半に出てくる試算表では手遅れになりやすい。月次決算の早期化(数営業日で締める運用)とセットで初めて「早期発見」が成立する。
この記事の要点
- 社長が試算表で見るのは全科目ではなく「①現預金残高の推移 ②粗利率の増減 ③固定費の異常値」の3点でよい
- 3点はいずれも単月ではなく推移・前月比・前年同月比で見る
- 危険サインは「黒字なのに現預金が減る」「売上横ばいで粗利率が下がる」「見覚えのない科目が出る」
- freeeのメニュー名・導線はアップデートで変わるため、画面手順は目安とし最新画面で確認する
- 早期発見は月次決算の早期化が前提。詳細分析は税理士に任せ、社長は「いつもと違う」を見つける役に徹する
参考
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