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業績悪化法人の消費税対策 仮決算中間申告をfreeeで今すぐやる手順

「前年より売上が落ちているのに、消費税の中間納付は前年並みに重い」。そんな法人の経営者に向けて、中間申告を「仮決算方式」に切り替えて納付額を今期の実力に合わせる方法と、freeeでの進め方を解説します。期限を過ぎるとその回の中間申告では使えなくなる制度です。年3回区分の3月決算法人は第1回の期限(8月末)が目前ですから、動くなら今です。

中間納付が重いのは「前年実績」で計算されるから

消費税の中間申告は、原則として直前の課税期間(前期)の確定消費税額をもとに納付額が決まります。いわゆる予定申告(前年実績方式)で、年1回の区分なら前期の年税額のおよそ半分を期中に前払いする仕組みです。ここに今期の業績は一切反映されません(出典:国税庁タックスアンサーNo.6609)。

そのため業績悪化の局面では、「売上も利益も落ちているのに納付だけ前年並み」という資金繰りの逆風が起きます。加えてインボイス経過措置の控除割合の変更のように、前年と納税額が変わる要因も増えています。

そこで使えるのが、今期の実績で計算し直す「仮決算による中間申告」(消費税法第43条)です。

まず自社の中間申告の回数と期限を確認する

中間申告の回数は、前期の確定消費税額(国税分)で決まります。

前期の確定消費税額(国税分)地方消費税込みの目安中間申告前年実績方式の納付額
48万円以下約62万円以下原則不要(任意の中間申告制度あり)
48万円超〜400万円以下約62万円超〜約513万円年1回前期の6/12
400万円超〜4,800万円以下約513万円超〜約6,154万円年3回前期の3/12ずつ
4,800万円超約6,154万円超年11回前期の1/12ずつ

(出典:国税庁タックスアンサーNo.6609No.6611

※直前の課税期間が12か月未満の場合(設立2期目・決算期変更など)は、上記の判定や納付額の計算方法が異なります。

注意したいのは、この48万円・400万円・4,800万円が国税分(標準税率なら7.8%部分)だという点です。納付書で目にする地方消費税込みの合計額とは別物で、込みの金額に直すと約1.28倍(×100/78)が目安になります(税率の内訳は国税庁タックスアンサーNo.6303)。

申告・納付期限は、各中間申告対象期間の末日の翌日から2か月以内です。3月決算法人なら次のとおりです。

  • 年1回:対象期間は4月〜9月、期限は11月末
  • 年3回:第1回(4〜6月分)は8月末、第2回(7〜9月分)は11月末、第3回(10〜12月分)は2月末
  • 年11回:毎月分を順次申告・納付します。ただし最初の月分だけは扱いが特殊で、3月決算法人では4月分と5月分の期限がいずれも7月末になるなど、通常の「対象期間末日の翌日から2か月」とは異なります。該当する法人は個別に期限表をご確認ください

つまり2026年でいえば、年3回の3月決算法人は第1回の8月末が目前です。年1回の法人も、今から準備すれば11月末に余裕をもって間に合います。

仮決算方式とは 前年実績方式との違いと4つの注意点

仮決算による中間申告は、中間申告対象期間を1つの課税期間とみなして仮決算を行い、その期間の実際の売上・仕入から消費税額を計算し、確定申告と同様の様式で申告・納付する方式です(出典:国税庁タックスアンサーNo.6609)。

選ぶ前に、次の4点は必ず押さえてください。

  1. 期限までの提出が絶対条件。中間申告書を期限までに提出しなかった場合は、前年実績による申告書の提出があったものとみなされます。つまり期限を1日でも過ぎると、その回の中間申告では仮決算は選べません。納付が遅れれば延滞税もかかります。
  2. 計算結果がマイナスでも還付は受けられない。控除税額が上回っても中間段階での還付はなく、納付額ゼロが下限です。払いすぎ・控除不足の精算は確定申告で行われます(消費税の還付が受けられる場面は設立初年度の消費税還付の記事で整理しています)。
  3. 簡易課税の法人は簡易課税で計算します。仮決算だからといって原則課税に変わるわけではありません。
  4. 前年実績方式との選択は任意。仮決算で計算した額が前年実績より大きくなるなら、そのまま前年実績方式で納付すればよいだけです。試算して有利な方を選べます。年3回・年11回の法人は、回ごとに前年実績と仮決算を使い分けることもできます。

数値例 中間納付がいくら変わるか

3月決算法人で、前期の確定消費税額が地方消費税込み300万円(国税分234万円)だったとします。国税分が48万円超〜400万円以下なので年1回の区分です。

方式中間納付額(地方消費税込み)
前年実績方式150万円(前期年税額のおよそ半分)
仮決算方式(上半期実績で計算した税額が地方消費税込み80万円の場合)80万円

この例では70万円の資金が手元に残ります。年間の税額そのものが減るわけではなく、確定申告で精算される「前払いの圧縮」ですが、業績悪化局面の70万円は大きいはずです。手元資金を何か月分持つべきかは運転資金の目安の出し方とあわせて考えてみてください。

freeeで仮決算の中間申告書を作る手順

仮決算というと大仕事に聞こえますが、freee会計で月次の記帳がまわっていれば、追加作業は多くありません。

freee公式ヘルプ(2026年7月時点)によれば、仮決算の中間申告書作成はfreee申告の機能で、freee認定アドバイザーまたはfreee申告アドバンスプランの契約者が利用できるとされています。ただし利用可否は契約プランのほか、認定アドバイザー側の利用環境、事業所の権限設定、過去の申告書データの有無によっても変わるため、着手前にfreee公式ヘルプまたは顧問税理士にご確認ください。おおまかな流れは次のとおりです(画面名・メニュー名は変更される可能性があります)。

  1. freee会計で対象期間の記帳を締める。未処理の取引・未登録の口座明細を解消し、残高試算表を月次決算レベルまで固めます。
  2. freee申告で、過去にfreeeで作成した消費税確定申告書をもとに中間申告(仮決算)の申告書を作成する。申告回数(年1回・3回・11回)を選択します。
  3. 金額を確認し、e-Taxで送信する。送信後、ダイレクト納付や振替などで納付まで完了させます。

自社がアドバンスプラン未契約でも、freee認定アドバイザーの税理士に依頼すれば作成・送信は可能です。経営者側の仕事は「対象期間の記帳を期限より前に締められる状態にしておくこと」に尽きます。

よくある詰まりどころと次の一手

  • 記帳が2〜3か月遅れている。仮決算方式は対象期間の帳簿が締まっていることが大前提です。まず記帳のキャッチアップを最優先し、どうしても期限に間に合わなければ、今回は前年実績で納付して次回(年3回の法人)や来期に備えるのが現実的です。
  • 判定金額の混同。48万円・400万円・4,800万円は国税分です。納付書の合計額(地方消費税込み)で判定すると区分を誤ります。
  • 仮決算でも払えない。中間申告書を出さなくても前年実績額で申告したものとみなされますが(消費税法第44条)、納付義務は消えません。放置すると延滞税や督促につながるため、払えない場合は必ず期限前に所轄税務署へ納税の猶予等を相談してください。

この記事の要点

  • 消費税の中間申告は原則、前期の確定消費税額ベース(前年実績方式)で計算され、今期の業績悪化は反映されない
  • 仮決算方式なら中間申告対象期間の実績で計算でき、業績悪化時は中間納付を圧縮して手元資金を温存できる(年税額は確定申告で精算)
  • 回数区分は前期の国税分で48万円超〜400万円以下=年1回、400万円超〜4,800万円以下=年3回、4,800万円超=年11回。期限は原則、各対象期間の末日の翌日から2か月以内(3月決算・年1回なら11月末、年3回の第1回は8月末。年11回の最初の月分は特殊)
  • 仮決算は期限までの提出が絶対条件。期限を過ぎるとその回は前年実績で申告したものとみなされるが納付義務は残り、計算結果がマイナスでも中間還付はない
  • freeeでは記帳が締まっていれば、freee申告(freee認定アドバイザーまたはアドバンスプラン)で仮決算の中間申告書を作成しe-Tax送信までできる

出典


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